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稲わら床と稲わらサンドイッチ畳床の特徴について解説しますね。
稲わら床は、昔ながらの製法で作られる畳の心材(畳床)です。
稲わらを何層にも重ね、専用の機械でしっかり縫い締めることで、柔らかさ、耐久性、そして調湿機能を兼ね備えた畳床が生まれます。
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この技術は、現在ではとても珍しくなっており、その理由として以下が挙げられます。
素材の希少性:稲わら床には、脱穀後に掛け干しを経た稲わらが必要です。
しかし、現代の主流であるコンバインによる稲刈りでは、稲わらが粉砕され田んぼに撒かれるため、品質の良い稲わらを確保するのが難しくなっています。
製造機械の不足:稲わら床を作る専用機械は現在生産されておらず、それを扱える職人も少数派です。
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職人としては、なかなか悲しい状態にあるなぁと思うのですが、これも一つの時代の流れでもあるのかもしれませんね。
さらに進化した形として、稲わらサンドイッチ畳床があります。
これは、稲わらの層の中央に断熱材であるポリスチレンフォームを挟み込むことで、さらに断熱性を向上させた畳床です。この2種類の畳床は、それぞれ異なる特性を持ち、お部屋に最適な環境を提供します。
稲わら床の優れた特性
独特な柔らかさ:硬すぎず柔らかすぎない、適度なクッション性があります。これは、現在主流の畳床では得られない特性です。
高い耐久性:稲わら床は非常に丈夫で、他の畳床と比べて長期間使用することが可能です。
調湿機能:稲わら床と天然い草の組み合わせにより、1畳あたり約500mlの水分を吸湿または放湿する性能があります。
これは、湿度が高い夏や乾燥する冬においても快適な室内環境を維持するのに役立ちます。
猪熊畳店の取り組み
猪熊畳店では、稲わら床と稲わらサンドイッチ畳床の製造を自社工場で行っています。
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この製造技術は、同業の畳屋さんからも高い評価をいただいており、畳を仕上げる立場から細部にわたる品質管理を徹底しています。
持続可能性への挑戦
稲わらの確保や更新ができない機械の問題など、課題は少なくありません。
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しかし、猪熊畳店ではこの貴重な技術を可能な限り守り続け、伝統を未来へとつなげていきたいと考えています。
職人のこだわり
猪熊畳店では、この稲わら床という技術に誇りを持っています。
畳の見た目や価格だけでなく、見えない部分に宿る職人の技術こそが、お客様の満足度を高めると信じています。
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簡略化や効率化が進む中で、細部に本質を見出す姿勢を大切にし、これからも品質にこだわり続けていきます。
稲わら床や稲わらサンドイッチ畳床を使うことで、昔ながらの畳の良さを感じることができるだけでなく、現代の暮らしに適した快適さも得られます。
畳に関するご依頼は、猪熊畳店の技術へご依頼いただければ幸いです。